monad
「あなた」は1人です。「私」と「あなた」、さらに「彼女」はお互いに区別されなければなりません。区別できないのなら、あなたに付けられた名前はおそらく無意味です。区別できない複数のmonadをまとめて新しい名前を付けるべきでしょう。
dyad
「私」と「あなた」の2人に対しては、性愛関係であればすぐに現代的な結婚制度を準用することができるので、性別の組み合わせに関係なくよくサポートされています。
単離されたdyadは、非常に単純で局所最適な状態です。「私」が向けるべき矢印は一方向に定まっていますし、「あなた」のそれも同じです。ただし、その流量は定まっていません。たいていは、お互いに等しいか、相手からの流量が大きいことを期待しています。
dyadは関係の最小単位です。我々は複数人の関係の中にどれくらいdyadがあるかを 価数 で表し、関係の強さや構造を論じることができます。
dyadはいつでもmonadまたはtriad、さらには他のpolyadに変化する可能性があります。ただし、monogamy-likeな観念のもとではtriadへの変化はおそらくありえません。dyadにおける単純な独占の構造は、他のpolyadよりも安定しているからです。
triad
3人組はdyadより複雑で不安定ですが、状態の数はそう多くありません。monadはお互いに区別されなければならず、矢印の端はそれぞれ1つに決まるためです。
monovalent-triad (dyad + monad)
monovalent-triadは厳密にはtriadではありません。これは1つのdyadのみを内包しています。「あなた」が「彼女」を独占することで、「私」は簡単にtriadから分離されることになるでしょう。このように、多価のtriadが1価に変化することを特に DM分解 と呼んでいます。
divalent-triad (V)
divalent-triadは、1人のピボットを中心として2つのdyadを内包しています。「彼女」を中心としたV字型の構造の下では、「私」と「あなた」の仲の悪さが関係の不安定性に直結します1。つまり「私」が「あなた」と「彼女」の仲に嫉妬したり、「あなた」を恨んだりすることで、簡単に価数が下がりえます。
例えば、須藤りとをピボットとして白子まりと綿紬ことこを配置するようなV字構造を考えることができます。この場合、白子まりと綿紬ことこは今までどおり食べ歩きをし、ゴシップを取引しあうでしょう2。おそらくは、うまくいきます。
いや、もしかしたら、主張の強い白子まりを慮って綿紬ことこが我慢をすることで、一見円滑に回るように見えることがあるかもしれませんが、そうあってはなりません。最終的に綿紬ことこが手を引いて消極的な解決がなされるようなことがあってはならないのです。
trivalent-triad
trivalent-triadは、3つのdyadが重なり合っており、全員の間に関係があります。「私」も「あなた」も「彼女」も他の2人の間に関係があることを知っています。
ここで、須藤りと、白子まり、綿紬ことこのtrivalent-triadを考えましょう3。りとまりの押し殺すような激しさ、りとことの囁くような優しさ、ことまりのころころとした笑い声。または、3人で行われるセッしないと出られない部屋のような時間。ここが一つの到達点でしょう。ただし、白子まりは古い結婚観に縛られがち4なので、non monogamy-likeな関係を噛み砕くのに時間がかかることを忘れてはいけません。
tetrad
4人組にかかる矢印は3〜6本存在します。同じ価数でも重なり合わせの有無によって構造が異なるものがあります。
trivalent-tetrad Ⅰ
trivalent-tetrad Ⅰは、3つのdyadが一直線に連なっています。発生の様態によって、以下の2つに分けられます。
- 2つのdyadの一端が1つのdyadになった ([A + B] + [C + D])
- 1つのdivalent-triadから1つのdyadが生えた ([A + <B] + C> + D)
tetravalent-tetrad Ⅱ (trivalent-triad + dyad)
tetravalent-tetrad Ⅱは、trivalent-triadから1つのdyadが生えた状態です。初めにtrivalent-triadが存在してそこからdyadが生える場合と、trivalent-tetradからの発展形が存在します。
例えば、白子まりの隣の席のモブ女。彼女は白子まりのファンであるから、脳内で様々なあだ名で呼ぶだけでは飽き足らず、勢い余って告白してしまうこともありえます5。アイツは自分のことを、白子まりにポンポン絡むモデル志望のスクールカースト上位女とは違う思慮のあるファンだと思っているはずなのに……。
PARKでは既にtrivalent-triadが形成されていますから、白子まりはその説明からしなければならないはずです。おそらくこれは良いことですが、真実を聞いたモブ女が何を選ぶかは分かりません。
pentad
5人組です。様々な性愛関係が考えられますが、後述のクラスター的構造を取ることが多く非常に複雑です。
ここで、性愛関係だけでなく友人関係も含んだ広義のpentadを考えてみましょう。
例えば、サアラとマヤ6は従姉妹なのです。マヤは昔からサアラのことが大好きなので、小さい頃からサアラが一緒にお風呂に入るように画策してきました。そのおかげで、サアラは知らず知らずのうちにマヤと一緒のお風呂が当たり前になってしまっています。
一方、サアラには親友のリセがいて、キュートなサアラとクールなリセでお互いに惹かれ合っています。リセとマヤは仲が悪いわけではないのですが、お泊り会の布団決めなどで7無意識のうちに小さなライバル意識を持つこともあるみたいです。
「リセと一緒にお風呂は、ちょっと恥ずかしいかも」
サアラはクラスメイトのゆずは8や、合唱部で一緒のアリサとも仲良しです。リセはゆずはとも仲良しですが、クラスで起きたサアラのエピソードを聞くとちょっともやもやすることもあるみたいですね。
リセは可愛いものへの憧れがあるので、リセとゆずはとアリサで可愛いものを貼り合うトークグループを作っています。リセから見ると趣味が近いのはゆずはなのですが、アリサからは可愛らしさを学び取りたいと感じています。
休日はマヤがみんなをまとめて遊びに行きます。サアラと二人きりで過ごすというのも十分ありえる選択肢のはずですが、なかなか実現することはありません。これは、サアラがみんなを誘いたがるというのと、単にマヤがみんなでワイワイするのが好きというのもあるようです。お泊り会はゆずはの家9でやることが多いですね。
一方、リセとサアラは二人きりで放課後に家でゆっくり読書をすることがあります。たまにくすぐりあったりするのを除けば、静かな時間が流れる穏やかな会です。
簡単な5人の関係でもこんなに長くなってしまいますね。こんなpentadがあったら、誰を応援すればいいのでしょうか。
hexad, heptad, octad, nonad, ..., polyad
n-polyadにかかる矢印は最大でnC2本存在しますが、実際に結ばれている関係はそれよりもかなり少なくなります。巨大なpolyadは、より小さなpolyadからなるクラスター的構造をとっています。全ての構成員の間にフラットな関係が存在するのはむしろ不自然でしょう。
理論的には、1人を中心としたスター型の関係10もありえます。ただし、その関係が全ての構成員に明らかになっていない限り、誠実たりえません。また勝手なハーレムの転用をしているな。
人間関係に誠実さはいらない、本当か? いや、しかし……。
おわりに
ポタク大好きポライアドプリムス